ナンピンマーチンEA is dead
厳しい為替相場が続きます。
ナンピンマーチンEAについては、かつては「Spider+」を当サイトでも紹介していましたが、
今年の3月以降、全てのEAを「非ナンピンマーチンタイプ」に切り替えることとしました。
ナンピンマーチンEAに関しては全て、程度の差こそあれ以下の欠点がついてまわります。
- 常に全損の危険がある。
- 損切設定があり、1.に当てはまらない場合も、利益よりも損失が多いことがほとんど。
- 逆行にはなす術もなく、ただ寿命が縮むだけ
- リスクの割に得られる利益が少ない
それでも、巷に出回る無料EAの95%はナンピンマーチンEAです。
なぜなのでしょうか?
運営には「美味しい」ナンピンマーチンEA
そもそも無料EAには、配布元の指定する口座縛りがついてまわります。
理由は簡単です。
ユーザーの取引1ロットごとに、ブローカーから運営に報酬が(イントロデューシングブローカー=IB報酬と呼ばれることが多い)入るからです。
IB報酬自体は、ブローカーの広告販促費であり、違法性はありません。
それ自体悪い仕組みではありません。
我々TEAM+も、ユーザーの皆さんに口座紐付けを行っていただき、IB報酬を得ています。
生き残るEAを長期にわたって愛用いただき、爆益ではないながらも、共に利益を得ることのできるシステムを構築できれば良い、と考えております。
が、ナンピンマーチンEAの場合は、その多くが倍々ナンピンマーチンシステムを採用しています。
つまり、相場に逆行が生じれば、ナンピンを打つと共にロットが倍化してゆくシステムなのです。
例えば、最初のエントリーが0.01ロットだったとしても、逆行が進むにつれ
0.01 → 0.02 → 0.04 → … → 1.28 → 2.56 → …
とロットが増えてゆくのです。
ユーザーの使用ロットが(時には信じられないほど)増えていくが故に、このようなナンピンマーチンEAは、運営に多額のIB報酬をもたらします。
一方でユーザーの破綻リスクは倍々ゲームで増加していきます。
そして、結果としてユーザーが増え過ぎたロットを制御できなくなって投入した全資金を失っても、運営にはそれだけ多くのIB報酬が入ることになります。
さらに、全損して退場するユーザーがいたとしても、また宣伝により新たなユーザーを同じスキームの中に取り込んでいけば、運営には多額のIB報酬が転がり込み続けるでしょう。
まさに焼畑農業のように、ユーザーからユーザーへ渡り歩くことが可能なのです。
運営には美味しく、ユーザーには厳しい
これが多くのナンピンマーチンEAの実態です。
また、上記の特性から、この種のEAの稼働開始には大きめの資金が必要となります。
初期ロット0.01でも、最低20万円は必要となるケースがほとんどです。
資金を増やせば破綻リスクは減じていきますが、破綻した時のダメージも大きくなります。
TEAM+「Spider+」における誤算と反省
TEAM+がリリースした最初のEAは、「Spider+」というナンピンマーチンEAでした。
どこよりも安全なナンピンマーチンEAを作ろうとし、数々の安全策を講じていました。
- 稼働時間を比較的値動きが安定している日本時間日中に制限する
- ナンピン本数を絞る(設定で変更可能)
- ナンピン間隔を一本ずつ自由に広げることができ、相場の大きい動きに対応できるようにする
- マーチン倍率を可変にし、1.7〜1.8倍に絞って運用する
などの機能を盛り込み、半年間順調に稼働させることができていました。
運営としても、バックテストを繰り返した上で、一般配布の前からリアルマネーを投入して安全性をチェックしていました。
この手のEAとしては利益率もIB報酬の額もかなり低くなりましたが、テスト稼働開始から通算100%の利益を得る目前まで到達もしていました。
しかし、
2020年2月・3月の相場の前にはいずれの機能も無力でした。
そして、運営としては痛恨の極みですが、当時Spider+を愛用してくださっていたユーザーの皆さんの多くも、資金を失うこととなったのです。
このことは、我々のEA開発を180度転換させることとなりました。
TEAM+の無料EA開発における新アプローチ
Spider+の破綻以降、TEAM+は以下の条件を満たすEAの開発につとめています。
- マーチンゲール方式を採用しない。使用するとしても、一連のエントリーの中で1回のみにとどめる
- 低額資金(2〜5万円)からも運用できるEAにする
- マイクロ口座の利用も可能とする
- できるだけポジションの保有期間を短くする
- 無用なエントリーは極力しない
その結果、TEAM+のIB報酬は激減していますが、唯一無二的なEAがいくつか仕上がってきました。
- 指標狙い・低リスクトレードEA「Hunter+」
- ショート戦略型EA「Mantis+」
- 逆張り短期決戦型EA「Akatsuki+」
- グリッドEA「Teichi-Ami(定置網)」
- ゴトー日特化型EA「510」
これらについては、EA名からのリンクで辿ることのできる別記事で紹介しています。
おわりに
ナンピンマーチンEAにもそれぞれ戦略があり、一概に括ることはできない部分があります。
例えば、定期的に破綻はするが、利益率が損失額を取り返す高さであるものもあります。
しかし、それらの特性がわからないまま使い始めることだけは、決してなさらないでください。
また、無料EAを入手されたら、必ずバックテストを行い、長期間での収益とリスクを見極めると共に、デモ口座を用いたフォワード検証で挙動を掴むことをお勧めします。
バックテストやデモ検証の許されていないEAを使うのはお勧めしません。
EAの挙動をよく掴まれてからの運用にすることで、格段にリスクは減ります。
皆さんが少しでも相場で長く生き延び、利益を上げることができるよう祈っております。
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